インプラント手術の痛みは、手術中は局所麻酔で抑え、手術後は翌日ごろが最も強く、多くは数日から1週間ほどで落ち着きます。
痛みや腫れの大きさは、骨を増やす処置が要るかなど手術の範囲によって変わるため、手術前の検査で自分の手術がどこまでになるかを確かめることが不安を減らす近道です。
「インプラントは痛いのでは」「手術が怖い」と決めかねている方も多いでしょう。本記事では、場面ごとの痛みと麻酔の方法、痛みが強くなりやすいケース、連絡が必要なサインを、学会の資料と研究をもとにお伝えします。
なお、痛みの感じ方と経過には個人差があり、本記事は診断の代わりにはなりません。
この記事の監修者
医療法人貴翔会 理事長
はまさき歯科クリニック 院長
濵﨑 貴光Takamitsu Hamasaki
略歴
- 熊本県立熊本高等学校 卒業
- 広島大学歯学部 卒業
- 熊本市民病院・歯科 勤務
- 医療法人伊東会伊東歯科医院 勤務(現 伊東歯科口腔病院)
- 福岡市内の歯科医院 院長として勤務
- 熊本大学医学部麻酔科・九州大学病院歯科麻酔科 研修
- 名古屋市のざき歯科クリニック 勤務
- 長谷川亨歯科クリニック 勤務
- はまさき歯科クリニック 開院
- 医療法人貴翔会 理事長就任
資格・所属学会
- 日本口腔インプラント学会
- 日本歯周病学会
- 日本歯科麻酔学会
- 日本臨床歯周病学会
- 日本歯科審美学会
- 日本スポーツ歯科医学会
- 日本スポーツ協会公認 スポーツデンティスト
- 歯科医師臨床研修指導医
- 日本ティップエッジ矯正研究会
この記事でわかること
- 手術中の痛みと、局所麻酔で痛みを抑える手順
- 手術後の痛みと腫れのピーク、落ち着くまでの目安
- 痛みや腫れが強くなりやすいケースと、手術前に確かめること
- 手術を受けた歯科医院に連絡すべき痛みとしびれのサイン
- 痛みが不安なときに手術の前に確かめたい4つのこと
目次
- インプラント手術中の痛みと局所麻酔
- 手術後の痛みと腫れはいつまで続くか
- 痛みや腫れが強くなりやすいケース
- 痛み止めの使い方と術後の過ごし方
- 様子を見てはいけない痛みとしびれのサイン
- 痛みが不安な人への当院の配慮と手術以外の選択肢
- 当院のインプラントの費用・期間・リスク
- よくある質問
- インプラント手術の痛みの相談ははまさき歯科クリニック こども矯正歯科へ
- 参考文献
インプラント手術中の痛みと局所麻酔

インプラント手術は、手術する部分だけに効かせる局所麻酔で行うのが一般的で、手術中の痛みは麻酔で抑えます。手術中に感じやすいのは、麻酔の注射のチクッとした痛みと、押される感覚や振動、器具の音です。
では、麻酔の注射そのものの痛みはどう抑えるのでしょうか。日本口腔インプラント学会の治療指針は、注射の前に塗る表面麻酔が針を刺すときの痛みの緩和に有効で、麻酔薬は強い圧をかけずにゆっくり注入することが肝心だと示しています。
さらに同じ指針は、注射の後は少なくとも5分程度たってから処置を始めるよう示しています。麻酔が十分に効く前に始めないことも、痛みを抑える手順の一部といえるでしょう。
当院では一般歯科の治療で、ゼリー状の表面麻酔、注入量を一定に保つ電動麻酔器、極細の注射針を使って麻酔の痛みを抑えています。
ただし、手術中に全く痛みを感じないとは言い切れません。366人を対象にした海外の研究では、手術中の痛みを10段階の0〜3(なし〜軽い)と答えた人は78.7%で、残りの人は中等度以上と答えていました。
痛みを感じたら我慢せず、手を挙げるなどして伝えていただければ、麻酔を追加できます。手術時間は本数や骨を増やす処置の有無によって変わるため、ご自身の場合の目安は手術前にご説明します。
手術後の痛みと腫れはいつまで続くか

インプラント手術の後の痛みは翌日ごろが最も強く、治療指針が示すとおり、数日から1週間ほどで落ち着くことがほとんどです。
では、どの日がいちばん痛いのでしょうか。インプラントを埋めた人を対象にした海外の研究では、痛みは術後1日目が最も強く、2〜3日目には最大値の約半分に下がり、平均は100点満点で1日目24、3日目12、6日目9でした。
234人に510本を埋めた別の海外の研究でも、痛みは術後24時間が最も強く、平均は10点満点で約2の軽い痛みでした。
骨を増やす処置を含む手術を受けた366人の研究では、術後に不快感があると答えた人が1日目57.7%、3日目36.1%、7日目17.5%と減っていました。何らかの不快感がある人の割合で、痛みの強さを示す数字ではありません。
腫れのピークは資料によって幅があります。奥歯の抜歯と同時に埋めた92人の研究では翌日で、神奈川県歯科医師会のQ&Aは骨をつくる処置などで切開を広げた場合に術後3日までと説明しています。
目安としては、翌日から3日ごろに目立ち、その後引いていくと考えてください。痛みのピークが翌日に来るため、手術当日の夜から翌日は予定を軽くし、処方された痛み止めを手元に置いておくと安心です。
痛み・腫れ・しびれ・違和感の見分け方
痛みはズキズキする感覚、腫れは頬がふくらむ状態、しびれは触っても感覚が鈍い・ピリピリする状態、違和感は縫った糸や傷が気になる感覚です。
あざ(内出血)が出ることもありますが、しびれは痛みや腫れとは別の症状のため、気づいた時点で手術を受けた歯科医院に伝えてください。
二次手術・抜糸・かぶせ物の段階の痛み
インプラント治療には、あごの骨にインプラントを埋める一次手術の後、骨とついてからインプラントの頭を出す小さな二次手術を行う方法があります。治療指針は、二次手術を主に歯ぐきの頂上の切開で行い、術後はうがい薬と消炎鎮痛薬を使うと示しています。
かぶせ物を入れる段階では、かみ合わせを確かめるときに違和感が出ることもあるため、気になる点は調整の際にお伝えください。二次手術が要るかと抜糸の時期は手術の方法によって変わるため、手術前の説明でご確認ください。
痛みや腫れが強くなりやすいケース

痛みや腫れの大きさは、骨を増やす処置が要るか、抜歯と同時に手術をするか、本数や切開の範囲など、手術の範囲によって変わります。
366人を対象にした研究では、骨造成(インプラントを支える骨が足りないときに骨を増やす処置)を行ったこと、手術中に痛みを感じたこと、飲酒習慣、年齢が、術後の不快感の強さと関係していました。
喫煙も影響します。治療指針は、喫煙者は傷の治りが悪くなりやすいとして、治療に先立って禁煙指導を行うと示しています。奥歯の抜歯と同時に埋めて骨の再生処置を併用した92人の研究でも、喫煙者は術後1〜3日目の痛みが非喫煙者より強くなりました。
前歯は見た目を整えるために骨や歯ぐきの移植を組み合わせることがあり、歯ぐきを上あごの内側から採る場合はその部位にも傷ができます。
では、自分の手術がどこまでになるかは、いつ分かるのでしょうか。手術前のCT(あごの骨を立体的に写す検査)で骨の量・厚み・神経の位置を確かめれば、骨造成が要るかを含めて手術の範囲を事前に説明できます。
当院では歯科用CTで骨の状態と神経の位置を確認し、骨が少ない場合は骨造成術を行っています。厚生労働省委託事業の患者向け資料も手術前のCT検査を有用としており、検査結果をもとに説明を受けてから決めてください。
痛み止めの使い方と術後の過ごし方
術後の痛みは、処方された痛み止めを説明どおりに飲むことで抑えられることがほとんどです。治療指針は、インプラント手術の後の痛みには、基本的に非ステロイド性消炎鎮痛薬やアセトアミノフェン(いずれも一般的な痛み止め)で効果が得られるとしています。
効かないからといって自己判断で量を増やさず、手術を受けた歯科医院に連絡してください。
術後は、患部を舌や指で触らない、強いうがいを避ける、手術した側で噛まない、刺激の強い食べ物を避けることを心がけてください。飲酒習慣は術後の不快感の強さと関係し、喫煙は傷の治りを悪くしやすいため、どちらも控えましょう。
注意点は手術の内容によって変わるため、手術を受けた歯科医院からの説明を優先してください。
様子を見てはいけない痛みとしびれのサイン

術後の痛みの多くは数日から1週間で落ち着きますが、処方の痛み止めで抑えられない痛みや、日を追って強くなる痛みは様子を見ずに連絡すべきサインです。
では、痛み止めが効かないのはなぜ問題なのでしょうか。治療指針は、一般的な鎮痛薬で効果が得られない場合は、骨の熱損傷(手術の熱で骨が傷むこと)を疑って精査が必要だとしています。
強い痛みが続く原因として、指針は骨の炎症や神経の障害による痛み、上顎洞炎(上あごの奥にある空洞の炎症)などを挙げており、原因を確かめることが大切です。次のような症状があれば、手術を受けた歯科医院に連絡してください。
- 処方の痛み止めを飲んでも痛みが抑えられない
- 痛みが日を追って強くなる
- 腫れが引かず、膿が出る、熱っぽい
- 上あごの手術の後に、鼻づまりや鼻からの膿がある
- 下唇やあご、舌にしびれや感覚の鈍さがある
- 1か月たっても痛みが続く
しびれについて、神経損傷のガイドラインは、治療後1か月を経過しても感覚が戻らない場合は早期に調べることが重要だとし、歯科麻酔科やペインクリニック、口腔外科などの専門診療科の受診を勧めています。
痛みがおおむね3か月続く場合、治療指針は慢性疼痛(長引く痛み)として、原因がわからないときは口腔外科やペインクリニックなどに相談するよう示しています。手術日を決めるときは、診療時間外や休診日にも連絡がつく方法を確かめておいてください。
治療が終わって数年後に痛む場合は、かみ合わせの変化やインプラント周囲炎(インプラントの周りの歯ぐきや骨の炎症)が考えられます。厚生労働省委託事業の資料は、放置すると撤去が必要になる場合があるとしているため、治療後も定期検診を受けてください。
痛みが不安な人への当院の配慮と手術以外の選択肢
当院では、痛みや体調の不安を手術の前に具体的にご相談いただける体制を整えてきました。インプラントは院長が担当し、歯科用CTで骨の量・厚み・神経の位置を確認したうえで、計画どおりの位置・角度・深さに埋めるための器具(サージカルガイド)を使って手術を行います。
院長は日本口腔インプラント学会と日本歯科麻酔学会に所属し、大学病院の麻酔科・歯科麻酔科で全身管理の研修を受けました。大学病院の歯科麻酔科で助教を務めた女性歯科医師も在籍しています。
口腔外科の治療では、持病のある方や薬を飲んでいる方の治療中の体の状態を、生体情報モニターで管理しています。AEDや酸素など緊急時の機器と別の医療機関との連携体制を整えて歯科外来診療医療安全対策加算の施設基準を届け出ており、持病や薬のことは事前にお知らせください。
国民生活センターの調査では、インプラント治療を受けた500人のうち、手術のリスクや合併症について口頭で説明を受け書面も渡された人は25.0%、手術前にCT検査を受けた人は62.8%でした。
手術を決める前には、手術の範囲と骨造成が要るか、麻酔の方法、術後の連絡方法、費用の4つを確かめてください。
手術がどうしても不安な場合は、手術を伴わない入れ歯やブリッジとも比べて決められます。当院では考えられる治療の選択肢をご提案していますので、比べたうえでお選びください。
当院のインプラントの費用・期間・リスク
当院のインプラントは自由診療(保険適用外)で、1本あたりの税込の費用は次のとおりです。
| 項目 | 前歯1本 | 奥歯1本 |
|---|---|---|
| インプラント体 | 29万7,000円 | 29万7,000円 |
| アバットメント(インプラントとかぶせ物をつなぐ部品) | 6万6,000円 | 6万6,000円 |
| ジルコニア冠(かぶせ物) | 11万円 | 8万8,000円 |
| 合計 | 47万3,000円 | 45万1,000円 |
骨が足りない場合は骨造成術(1歯5万5,000円〜11万円)が加わります。検査など上記以外の費用の有無と総額、骨の状態や本数によって変わる治療期間と通院回数は相談の際にご確認ください。
主なリスクとして、手術後の痛みや腫れ、神経の損傷によるしびれ、感染、インプラントが骨とつかない場合があります。厚生労働省委託事業の資料は、治療後10年で約1割のインプラントが失われていること、健康状態によっては治療を受けられない場合があることを示しており、治療後も定期検診が欠かせません。
お支払いは現金とクレジットカード(自費診療のみ)に対応しています。1年間の医療費が10万円以上の場合は医療費控除の対象となるため、詳しくは国税庁のページでご確認ください。
よくある質問
インプラント手術は痛いですか?
手術中は局所麻酔で痛みを抑え、痛みを感じた場合は伝えていただければ麻酔を追加できます。手術後は翌日ごろが最も痛みやすく、処方の痛み止めで抑えながら、数日から1週間ほどで落ち着くことがほとんどです。
インプラントの術後の痛みはいつまで続きますか?
痛みは翌日ごろが最も強く、2〜3日目には約半分になり、数日から1週間ほどで落ち着くことがほとんどです。日を追って強くなる場合や1週間を過ぎても強い場合は、手術を受けた歯科医院に連絡してください。
インプラントの腫れのピークはいつですか?
腫れは翌日から3日ごろに目立つことが多く、その後引いていきます。骨を増やす処置などで切開の範囲が広い場合は腫れやすいため、腫れが引かずに膿が出るときは手術を受けた歯科医院に連絡してください。
インプラントの痛み止めが効かないときはどうすればいいですか?
自己判断で量を増やさず、手術を受けた歯科医院に連絡してください。日本口腔インプラント学会の治療指針は、一般的な鎮痛薬で効果が得られない場合は骨の熱損傷を疑って精査が必要だとしています。
インプラントの麻酔の注射は痛いですか?
日本口腔インプラント学会の治療指針は、注射の前に塗る表面麻酔が針を刺すときの痛みの緩和に有効で、麻酔薬はゆっくり注入することが肝心だとしています。当院では一般歯科の治療で、ゼリー状の表面麻酔、電動麻酔器、極細の注射針を使って麻酔の痛みを抑えています。
インプラント手術の痛みの相談ははまさき歯科クリニック こども矯正歯科へ
当院では歯科用CTで骨の状態を確かめたうえで、骨造成が要るかを含めた手術の範囲と費用・リスクをご説明し、デメリットも理解して納得していただいてから治療を始めます。
相談・予約はWEB予約のほか、LINEやお電話(0561-34-5577)でも受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
診療時間は月・火・木・金が9時〜13時と14時〜18時(最終受付17時30分)、土曜が9時〜14時30分(最終受付14時)です。休診日は水曜・日曜・祝日ですが、祝日のある週の水曜は診療しています。
当院はみよし市三好町夕田81、莇生原(あざぶはら)交差点より東にあり、駐車場は20台分ございますので、お車でお越しください。
参考文献
- 公益社団法人日本口腔インプラント学会「口腔インプラント治療指針2024」2024年
- 日本歯科麻酔学会・日本口腔顔面痛学会・日本口腔外科学会・日本ペインクリニック学会・口腔顔面神経機能学会「歯科治療による下歯槽神経・舌神経損傷の診断とその治療に関するガイドライン」2019年
- 日本歯科医学会(厚生労働省委託事業 歯科保健医療情報収集等事業)「安心してインプラント治療を受けるために」2014年
- 独立行政法人国民生活センター「あなたの歯科インプラントは大丈夫ですか なくならない歯科インプラントにかかわる相談」2019年
- 公益社団法人神奈川県歯科医師会「インプラントの疑問に答えるQ&A」
- Hashem AA, Claffey NM, O’Connell B. Pain and anxiety following the placement of dental implants. Int J Oral Maxillofac Implants. 2006;21(6):943-950.
- Al-Khabbaz AK, Griffin TJ, Al-Shammari KF. Assessment of pain associated with the surgical placement of dental implants. J Periodontol. 2007;78(2):239-246.
- Wu X, Ye M, Sun J, Yan Q, Shi B, Xia H. Patient-reported outcome measures following surgeries in implant dentistry and associated factors: a cross-sectional study. BMJ Open. 2022;12(6):e059730.
- Urban T, Wenzel A. Discomfort experienced after immediate implant placement associated with three different regenerative techniques. Clin Oral Implants Res. 2010;21(11):1271-1277.