子どもの矯正の期間は、Ⅰ期治療で装置を使う期間だけでなく、永久歯への生え替わりを見守る期間、必要な場合のⅡ期治療、歯並びを安定させる保定期間まで含めて考える必要があります。
何年かかるかは歯並びの種類と成長や装置の使い方で変わるため、当院では7歳前後で診断し、精密検査のうえでお子さんごとの見通しをご説明しています。「何年で終わるのか」「中学生や高校生まで続くのか」と気になっている保護者の方も多いでしょう。
本記事では、段階ごとに何で区切りが決まるか、どこで延びやすいかを、学会の資料と研究をもとにお伝えします。なお、本記事は一般的な情報で、お子さんの診断の代わりにはなりません。
この記事の監修者
医療法人貴翔会 理事長
はまさき歯科クリニック 院長
濵﨑 貴光Takamitsu Hamasaki
略歴
- 熊本県立熊本高等学校 卒業
- 広島大学歯学部 卒業
- 熊本市民病院・歯科 勤務
- 医療法人伊東会伊東歯科医院 勤務(現 伊東歯科口腔病院)
- 福岡市内の歯科医院 院長として勤務
- 熊本大学医学部麻酔科・九州大学病院歯科麻酔科 研修
- 名古屋市のざき歯科クリニック 勤務
- 長谷川亨歯科クリニック 勤務
- はまさき歯科クリニック 開院
- 医療法人貴翔会 理事長就任
資格・所属学会
- 日本口腔インプラント学会
- 日本歯周病学会
- 日本歯科麻酔学会
- 日本臨床歯周病学会
- 日本歯科審美学会
- 日本スポーツ歯科医学会
- 日本スポーツ協会公認 スポーツデンティスト
- 歯科医師臨床研修指導医
- 日本ティップエッジ矯正研究会
この記事でわかること
- 子どもの矯正期間の全体像と、Ⅰ期・経過観察・Ⅱ期・保定の区切りの決まり方
- Ⅱ期に進む場合や受け口の場合に、中学生・高校生まで続くことがある理由
- Ⅰ期だけで終わるか、Ⅱ期まで続くかの判断の仕方
- 早く始めると期間が短くなるのかについて、研究でわかっていること
- 期間が延びる主な原因と家庭でできる工夫、保定期間の考え方
目次
- 子どもの矯正期間の全体像とⅠ期から保定までの段階
- Ⅰ期治療の期間と装置ごとの違い
- Ⅱ期治療の期間は中学生・高校生まで続くのか
- Ⅰ期だけで終わるケースとⅡ期まで続くケース
- 早く始めれば期間は短くなるのか
- 治療期間が延びる主な原因と家庭でできること
- 保定期間の目安と後戻りを防ぐ使い方
- 当院の小児矯正の期間と費用・リスク
- よくある質問
- 子供の矯正期間の相談ははまさき歯科クリニック こども矯正歯科へ
- 参考文献
子どもの矯正期間の全体像とⅠ期から保定までの段階

子どもの矯正(小児矯正)は、Ⅰ期治療、経過観察、必要な場合のⅡ期治療、保定と段階を追って進むため、全体の期間は1つの装置を着けている期間より長くなります。
Ⅰ期治療は、乳歯と永久歯が混ざっている時期(混合歯列期)の7〜10歳頃に、あごの成長を利用して上下のバランスを整え、永久歯が並ぶスペースの確保を目指す治療です。Ⅱ期治療は永久歯がそろった後に歯そのものを動かす治療で、すべてのお子さんに必要になるわけではありません。
区切りは段階ごとに異なり、Ⅰ期はスペースとあごのバランス、経過観察は永久歯への生え替わり、Ⅱ期は歯の位置とかみ合わせ、保定は歯並びの安定で決まるため、どの段階も年数だけでは決まりません。
個人差はありますが、12〜13歳頃までにすべての歯が永久歯に生え替わり、その時点の精密検査でⅡ期に進むかどうかを判断します。
日本矯正歯科学会のQ&Aが、通常の不正咬合では装置を入れておく期間が2〜3年程度で、簡単な治療なら半年程度で済むこともあり、受け口などあごに問題がある場合ははるかに長くなる場合もあると説明しています。
ただし、学会Q&Aの「2〜3年程度」は年齢や装置を限らない一般論で、子どものⅠ期だけの期間ではありません。お子さんに当てはめた期間は、歯並びと成長の状態を精密検査で確かめてからお伝えします。
Ⅰ期治療の期間と装置ごとの違い
Ⅰ期治療の区切りは年数ではなく、永久歯が並ぶスペースの確保、上下のあごのバランス、口の癖の改善がどこまで進んだかで決まります。当院では床矯正、プレオルソ、固定式装置を症状に合わせて組み合わせ、MFT(舌・唇・頬の筋肉の使い方を身につける口腔筋機能療法)を併用しています。
装置によって進み方が異なるため、どの装置でも同じ期間で終わるわけではありません。
床矯正
床矯正は、取り外し式の装置を就寝時と日中の一定時間着けて、あごの幅を広げる治療です。規定の装着時間を守らないと効果が得られないため、当院ではご家族に協力をお願いしています。装着時間が足りない日が続くとその分だけ進みが遅れると考えてください。
プレオルソ
プレオルソは、5〜10歳くらいのお子さん向けに開発された柔らかい素材のマウスピース型の装置で、装着は日中の1時間と就寝中です。口呼吸や低位舌(舌が通常より低い位置にある状態)など、歯並びを悪くする癖の改善を目指します。
固定式装置(急速拡大・ペンデックス)
固定式装置は歯に直接付けるため取り外しの手間がなく、家庭で装着時間を管理する負担が小さい装置です。一方で歯みがきがしにくくなるため、仕上げみがきを丁寧に続けてください。
Ⅱ期治療の期間は中学生・高校生まで続くのか
Ⅱ期治療に進む場合は、永久歯がそろう12〜13歳頃以降に始まるため、中学生の時期に重なることがあります。生え替わりが完了するとⅠ期治療は適用できず、Ⅱ期治療で歯並びを整えます。
では、Ⅱ期治療にはどれくらいの期間がかかるのでしょうか。当院のⅡ期治療はブラケット矯正(歯の表面に小さな器具を付け、ワイヤーの力で歯を動かす方法)で、期間は歯の動き方やかみ合わせの状態によって変わります。
参考として、ワイヤー矯正の期間を調べた海外の系統的レビュー(複数の研究をまとめて分析した研究)では、大学で行われた22研究・1,089人の平均治療期間は19.9か月、受診回数は5研究の平均で17.8回でした。19.9か月は年齢を限らない研究の平均で、子どものⅡ期や当院の期間を示すものではありません。
一方、高校生の時期まで経過を見ることがあるのは、受け口で下あごの骨に原因がある場合です。
日本矯正歯科学会の診療ガイドライン(成長期の骨格性下顎前突編)は、上あごの骨が10〜12歳でほぼ成長を終えるのに対し、下あごの骨は思春期の成長が終わるまで伸び続け、治療後に再び受け口になることがあるため、16〜18歳頃までの長期的な観察が必要だとしています。
Ⅱ期や受け口の経過観察に加えて保定装置も治療後に一定期間使うため、中学生や高校生の時期まで通院が続く場合があると考えてください。部活動や受験の予定がある場合は、相談のときにお伝えいただければ、見通しとあわせてご説明します。
Ⅰ期だけで終わるケースとⅡ期まで続くケース

Ⅰ期だけで終わるかⅡ期まで続くかは、精密検査とⅠ期後の生え替わりや成長の経過を見て判断するため、Ⅰ期を始める時点では決められません。当院では、Ⅰ期で目標に達しない場合にⅡ期のブラケット矯正を行っています。
Ⅰ期のあと保定と経過観察に移るのは、永久歯が並ぶスペースが確保でき、上下のあごのバランスが整い、口の癖が改善したときです。反対に、歯のねじれや細かな位置の調整が必要なとき、成長が予測と違ったとき、口の癖が残ったときは、Ⅱ期に進むことを考えるとよいでしょう。
計画どおりに進まず「失敗したのでは」と感じる結果について、日本小児歯科学会のQ&Aは、予約や装置の使用に協力が得られない、成長発育が予測を超える、口の癖や口呼吸を本人も含めて治せない、転居や転医で方針が一定しないの4つを原因に挙げています。
日本矯正歯科学会のQ&Aも、子どもの頃に整えた歯並びが、後から生えてきた歯に押されたり成長でかみ合わせが変わったりして、まれに悪くなることがあると説明しています。Ⅰ期を終えた後の経過観察は、変化に早く気づくための大切な期間と考えてください。
「第一期でやめる」ことを考えるときは、Ⅰ期の目標がどこまで達成できたか、Ⅱ期に進まない場合に何が残るか、保定と経過観察をいつまで続けるかの3点を、相談の場で確かめてください。
早く始めれば期間は短くなるのか
早く始めても、矯正全体の期間が短くなるとは限りません。早期治療の利点は、期間の短縮とは別のところで報告されています。「早く始めても意味がないのでは」という疑問への答えも、何を目的に始めるかで変わります。
出っ歯(上の前歯が出ている状態)の子どもを対象にした米国の無作為化試験(治療法をくじ引きのように割り振る研究)では、早期治療をしても、その後のⅡ期でワイヤー装置を着ける平均期間は短くなりませんでした。
英国の多施設の無作為化試験でも、出っ歯の8〜10歳の子ども174人を約10年追跡したところ、取り外し式の機能的装置で早く治療した群は、すぐには治療しなかった群より通院回数が多く、治療期間も長くなりました。
一方で、出っ歯の子どもを対象にした27試験・1,251人の海外の系統的レビューでは、前歯に新しいけがをした割合が、思春期に治療した群の30%に対し、早く治療した群では19%でした。(3試験・332人の分析で、エビデンスの質は低〜中等度)
受け口の7〜9歳の子ども73人を対象にした英国の無作為化試験では、6年後にあごの手術が必要と判断された割合が、治療しなかった群の66%に対し、上あごを前方に引く装置で早く治療した群では36%でした。研究で使われた装置は、当院でご案内している装置とは異なります。
まとめると、早期治療の価値は期間の短縮ではなく、前歯のけがや将来のあごの手術の必要性を減らす点にあると考えるのがよいでしょう。当院がⅠ期治療で目指している「Ⅱ期の負担の軽減」も、期間ではなく治療内容の負担を指しています。
だからこそ当院では7歳前後で診断し、始めるかどうかと始める時期をお子さんごとに判断しています。特に受け口が気になる場合は、早めにご相談ください。
治療期間が延びる主な原因と家庭でできること

期間が延びる主な原因は、取り外し式の装置の装着時間不足、通院の中断、口の癖、成長の変化、むし歯、装置の紛失・破損、転居・転医です。多くは家庭での工夫と早めの相談で、延びる幅を小さくできるでしょう。
取り外し式の装置は着けているつもりになりやすい
取り外し式の矯正装置の装着時間を客観的に測った24研究の海外の系統的レビューは、指示どおりの装着は十分とはいえず、患者は装着時間を実際より長く見積もりがちだったとまとめています。慣れない装置を毎日着けること自体が難しく、お子さんの努力だけの問題ではありません。
日中に着ける時間を帰宅後の宿題やテレビの時間など毎日決まった場面に組み込み、装着した日をカレンダーに記録したり、外した装置の置き場所を決めたりすると続けやすくなります。
通院の中断と口の癖
治療期間中は定期通院をお願いしており、通院の間隔は装置と治療の段階に合わせてご案内します。予約が空いたり途中で中断したりすると調整ができない期間が生じ、期間が延びたり歯並びが戻ったりしかねません。
歯並びは唇や頬、舌など口の周りの筋肉の影響を受けるため、指しゃぶりや口呼吸などの癖が続くと計画どおりに進みにくくなります。
当院では唇や舌の力を測定器で数値化し、MFTで口呼吸や低位舌、頬杖、片側噛みなどの癖の改善を目指しており、トレーニングはご家庭で毎日続けることが欠かせません。
成長の変化・むし歯・装置の紛失や転居
受け口のように成長が予測を超えた場合は、計画を見直すことがあります。むし歯の治療が先に必要になると矯正の予定が後ろにずれ、装置をなくしたり壊したりすると作り直すまで治療が進みません。転居や転医で治療方針が変わると、計画をやり直す分だけ延びることもあります。
装置が合わない、なくした、着ける習慣が続かないと感じたときは、次の予約を待たずにご連絡ください。お子さんの場合にどれくらいかかりそうか、どこで延びやすいかは、精密検査のうえでご説明します。
保定期間の目安と後戻りを防ぐ使い方
保定期間は、歯を動かす治療を終えた後に、後戻り防止装置(保定装置、リテーナー)で歯並びを安定させる期間です。当院では装置や治療の種類によって保定期間を設定し、期間中は後戻り防止装置の装着をお願いしています。
では、なぜ治療後も装置が必要なのでしょうか。日本矯正歯科学会のQ&Aは、動かし終えた直後の歯は周りの骨や歯ぐきがまだしっかり支えていないため、保定装置を使わないと元の歯並びに戻りかねないとしています。そのうえで、通常1年以上はできるだけ毎日使う必要があると説明しています。
子どもと大人を対象にした47研究・4,377人の海外の系統的レビューでも、保定をしなければ歯は元の位置に戻ろうとする一方、どの保定方法が優れているかは確かな結論を出せていませんでした。当院では、保定期間の長さと1日の装着時間を、お子さんの装置と治療の内容に合わせてお伝えします。
取り外し式の保定装置は使い忘れが起きやすいため、治療中と同じく着ける場面を決めておくと続けやすくなります。使い忘れて歯並びが変わってきたと感じたら、早めにご相談ください。学会のQ&Aでも早い時期であれば多くの場合は短い期間で治療を終えられると説明しています。
当院の小児矯正の期間と費用・リスク
当院の小児矯正は自由診療(保険適用外)で、費用は次のとおりです。
| 項目 | 費用(税込) |
|---|---|
| 精密検査料 | 33,000円 |
| Ⅰ期治療 | 385,000円 |
| Ⅰ期治療中の管理費・調整費 | なし |
| 合計 | 418,000円 |
治療は、カウンセリング、精密検査、診断結果と治療方針のご説明、MFTと装置を組み合わせた治療と定期通院、保定の順に進みます。期間と通院の回数は歯並びと装置によって異なり、一律にはお示しできないため相談の際にご確認ください。
主なリスクとして、治療初期の痛みや不快感、歯の動き方や装置の使用状況によって予想より期間が長くなる場合があること、装置を着けている間のむし歯や歯周病のリスクの高まりが挙げられます。
ほかにも、金属アレルギー、装置を外すときの歯の表面の小さな亀裂や補綴物(被せ物など)の破損、保定装置を使わない場合の後戻り、あごの成長による歯並びやかみ合わせの変化の可能性があります。矯正治療は一度始めると元の状態に戻すことが難しくなるため、リスクも確かめたうえで始めてください。
費用を考えるときは、検査や装置だけでなく、保定や装置の作り直しも含めた総額で見ることが大切です。
よくある質問
子供の矯正は何年かかりますか?
何年かかるかは、歯並びの種類と成長、装置の使い方によって変わります。日本矯正歯科学会のQ&Aは、年齢や装置を限らない一般論として、装置を入れておく期間を通常2〜3年程度としています。(保定の期間は別)お子さんの場合の見通しは精密検査のうえでご説明しますのでご相談ください。
小児矯正は第一期でやめることはできますか?
Ⅰ期治療で目標に達していれば、Ⅱ期に進まずに保定と経過観察へ移ることがあります。どちらになるかは精密検査とⅠ期後の経過を見て判断するため、始める時点では決められません。途中で装置の使用をやめると期間が延びる原因になるため、迷ったときはご相談ください。
子供の矯正は中学生や高校生まで続きますか?
Ⅱ期治療に進む場合や保定の期間を含めると、中学生の時期まで続くことがあります。受け口で下あごの骨に原因がある場合は、下あごの成長が終わる16〜18歳頃まで経過を見ることがあります。
子供の矯正の通院頻度はどれくらいですか?
通院の間隔は、お子さんの装置と治療の段階によって変わります。当院では治療期間中の定期通院をお願いしており、間隔は治療を始めるときにご説明します。
子供の矯正のリテーナーはいつまで着けますか?
リテーナー(保定装置)を着ける期間は、装置と治療の種類によって変わります。日本矯正歯科学会のQ&Aは、通常1年以上はできるだけ毎日使う必要があるとしています。当院では装置に合わせて保定期間と1日の装着時間をお伝えしますので、自己判断でやめずにご相談ください。
子供の矯正期間の相談ははまさき歯科クリニック こども矯正歯科へ
当院では7歳前後での診断と精密検査をもとに、Ⅰ期から保定までの見通しをご説明しています。相談・予約はWEB予約のほか、LINEやお電話でも受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
診療時間は月・火・木・金が9時〜13時と14時〜18時(最終受付17時30分)、土曜が9時〜14時30分(最終受付14時)です。休診日は水曜・日曜・祝日ですが、祝日のある週の水曜は診療しています。
当院はみよし市三好町夕田81、莇生原(あざぶはら)交差点の近くにあり、駐車場は20台分ございますので、お車でお越しください。
参考文献
- 公益社団法人日本矯正歯科学会「矯正歯科治療について」(一般向けQ&A)
- 公益社団法人日本矯正歯科学会 診療ガイドライン策定委員会「矯正歯科治療の診療ガイドライン 成長期の骨格性下顎前突編」2020年
- 日本小児歯科学会「子どもたちの歯並び・かみ合わせの治療に関するQ&A」
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